かきくRE自転車工房を始めるにあたり、再生しようと考えていた自転車が一台ありました。1980年代後半、テレビCMを経て一世風靡したブリヂストン製スポーツ自転車RADAC(レイダック)です。
フルアルミモデル、アルミクロモリハイブリッドモデル、カーボンハイブリッドモデルなどが登場し、その後ANCHORブランドへと移行しました。古いサイクリストならば、きっと記憶にあることでしょう。
工房主の実家にもレイダック・アルミクロモリモデル(1987年製)が長い間保管されておりました。スポーツ自転車に興味のない家族から「邪魔だ」とさんざん言われながらも処分できずにいました。
実はこの自転車、あまり乗っていないんです。
この自転車を親戚から譲り受けた当時は、別のスポーツをやっていて興味はそちらに。高校があまりに近かったことから自転車通学も禁止。月に一、二度、部活の遠征試合や釣りに出かける程度の使用頻度でした。
2010年頃の自転車ブームで再びこの自転車に乗り始めたものの、カーボンフレーム全盛期〝軽さが正義〟の時代。一年も経たずに別のフレームに乗り換えました。
総走行距離は1万5000㎞以下でしょうか?
シフトケーブルガイド一つしかありませんので、フロントシングル専用モデルです。
近年、スポーツ自転車を本格的に乗るようになり、ようやく気付いたのですが、このフレーム、性能的にも意外に悪くありません。
実測値2113g
その上、アルミもクロモリも非常に柔らかく、適度に衝撃を吸収してくれます。一昔前の軽さ一辺倒のカーボンフレームと比較し、はるかに乗りやすいです。
疲労度が少なく、足が残ります。300km超のロングライドにも重宝しました。巡行スピードは現在乗っているアルミフレームよりも速かったりします。
フロントフォークをカーボン製に変えれば、最高の乗り心地を手に入れることができるでしょう。
ただ、屋内保管していた割には、ところどころサビが目立ちます。
フロンドエンド、リアエンド、BBまわり、シートステーなどクロモリ部分がサビているようです
再生の開始です。まずはパーツの分解とフレームの塗装除去から
ステムが固着し、ヘッドパーツベアリングリテーナーがサビでボロボロになっていましたが、それ以外は再利用できそうです。懸念の一つだったヘッドパーツも問題なく外れてくれました。
塗装作業に近道はありません。やすりを使い地道にこするだけです。
所々グラインダーやサンダーといった電動工具も使いますが、基本は手作業です。電動工具だと削り過ぎるのが怖いです。丸いパイプが平面化すると、見栄えがとても悪くなります。
塗装除去だけに8時間ほどかかりました。
塗装の下までサビが出ている個所はケースバイケース。削りすぎてフレーム剛性や耐久性が落ちては意味がありません。
カーボンフレームの塗装を除去する場合は要注意。電動工具を使うと熱でフレームが溶けます。薬品もどのような結果を及ぼすか不明のため、使用しないほうが良いでしょう。
このレイダックはクロモリとアルミですが、ラグ組み部分は溶接ではなく、特殊な接着剤を使用しているとか。塗料はがしなどの薬品を使うと剥離する可能性があります。
黄色いマスキングが、その接着部分です。
サビ防止のため、パテで埋めていきます。工房主としては、デザイン向上の意味もあります。
防錆剤入りのプライマー(下塗り)を塗ります。
速乾性ですが、一昼夜乾燥させました。
パステル系みず色とスカイブルーで塗装しました。
パステルカラーは近年の流行でもあります。塗料の進化により自動車にもパステルカラーは多くなりました。飽きが来ない色でもあります。
通勤通学、街乗りにオシャレな感じがしませんか?
BRIDGESTONEのロゴも塗装です。グラデーション塗装を施しており、夕日に当たったり、角度を変えて見ると色が変化します。
ヘッドチューブとシートチューブに桜マークを描きました。これも工房主の好みです。
ラグ組部分の段差をパテで埋めた理由も、この桜マークを引き立てるためです。
スカイブルーの部分にはラメを少し入れました。写真ではわかりませんが、日に当たるとキラキラ輝きます。
フレームの乾燥時間に、フォークとヘッドパーツを塗装します。
ヘッドパーツは鉄製でキズも多かったため、新品に付け替える予定だったのですが、特殊塗料の試し塗りに使ってみたところ良い具合に仕上がったため、そのまま使用することに。
結局、サビが酷かったベアリングリテーナーだけが、新品です。
ダイアコンペ製キャリパーブレーキ、ステム、アルミシートポスト、BB下につけるケーブルガイド、すべて発売当時の物です。