ウレタンクリア塗装の長所と短所

かきくRE自転車工房の塗装の仕上げには、ウレタンクリア塗料が使用されています。自動車塗装用の二液性ウレタンクリア塗料です。

ウレタンクリア塗料の特性

自動車のような高級感のあるツヤを出し、見栄えを良くするという理由もありますが、ハードな環境下で使用されることが多い自転車のキズを目立たせないための保護材でもあります。

自動車の排ガス、汗、紫外線、酸性雨、融雪剤などから塗装や金属製パーツを護る高品質なウレタンクリア塗料を使用しております。

整備時に使用するディグリーザーや灯油等が付着しても、塗装をしっかり保護します。

高い柔軟性があるため、カーボンフォークのようなしなる部分に塗装しても表面の塗装が割れる心配はありません。

ボトルホルダー(樹脂)やフレームバッグ(ポリプロピレン)などに使用しても割れることなく、塗装をしっかりガードします。

寿命があります。多くの塗料に耐用年数があるように、ウレタン塗装にも耐用年数があります。一般にアクリル塗料の場合は7~10年と言われています。ウレタン塗料は紫外線に弱いという弱点があるため、アクリル塗料よりもやや短い5~7年といわれております。

これは自動車にも言えることです。新車から5~7年経過すれば、色あせて見えるのと同じ理由です。特に赤色や黄色の自動車は彩(いろどり)が急に悪くなります。これは表面のウレタン塗料が紫外線により劣化が始まっている証拠です。専用ワックスやガラスコーティング剤を使用することで劣化スピードは改善されます。

ただ、屋内保管されることが多いロードレーサー等には、あまり関係のない話題かもしれません。

屋外保管される場合は、自転車カバーを使用したり、日光が直接当たらない場所に保管すればクリア塗装の色つやが簡単に長持ちします。

余談ですが、ガラスやポリカーボネート素材は紫外線の80%を遮断します。ショーウィンドーや直射日光を通すガラス窓のある場所に自転車を保管しても大きな問題にはなりません。

ウレタンクリア塗装の強さ

一般の油性クリア塗料と比較し、ウレタンクリア塗料は小傷がつき難いという利点があります。

直接強く触る機会が少ないステムやキャリパーブレーキならば、問題はありません。色つやが長続きします。

その一方で、砕けやすいという欠点もあります。

漠然とした表現ですが、メーカー純正の油性塗料と比較しやや弱いです。

クランプ式フロントディレイラーを取り付ける箇所、キャリパーブレーキのブレーキシューの締め付け部分、シートポストは、必ずと言ってよいほど塗面にダメージが発生します。

クランクは、チェーン落ちやシューズが擦れることで塗面が欠けたり擦り傷が入ります。

ただ、これらの問題点は純正塗装でも同じとも言えます。

乾燥時間を十分にとる必要があります。硬化剤の作用で、おおよそ二日あれば触れても問題ないレベルまで乾燥しますが、塗料の内部では化学変化が続いております。夏場でも最短二週間の乾燥時間が必要です。

チェーンステーには必ずチェーンステープロテクターを使用してください。

トップチューブにケーブルが接触するフレームをお使いの場合は、保護シールを張ることで改善されます。

工房主は、ホームセンター等で購入可能なクリアカッティングシートを二重にし、トップチューブやチェーンステーに貼っております。色合いやデザインを阻害することなく、しかも数十円と安上がりです。ただし数か月に一度張り替える必要があります。

メンテナンス

洗車は中性洗剤と柔らかいスポンジで洗ってください。

硬いたわしやナイロンブラシ等を使用すると塗面に傷がつきます。洗車の基本は自動車と同じと考えていただければ大丈夫です。(例:ジョイやウタマロキッチンなどを2~3%ほどに希釈し、100均の食器洗いスポンジやアクリルスポンジで軽く擦って洗ってください)

ガソリンやディグリーザーに強いウレタン塗料を使用しておりますが、塗面がまったく劣化しないわけではありません。チェーンオイル等のしつこい汚れは、ディグリーザー等を直接吹きかけず、キッチンペーパーなどに一旦含ませて軽くふき取ってください。

自動車用ワックスや自動車用ガラスコーティング剤は問題なく使用できます。

検証の様子を動画で記録しておりますので、ウレタン塗料の強さの参考にしてください。ウレタン塗装後、二週間乾燥させたステムで検証しております。ただし、色や素材により塗料の強さは変化します。